脊尾詰ダウンロード 将棋所/ShogiGUI対応版
  (2017年5月20日アップデートリリース)

パナソニック将棋部の中心メンバーの一人である脊尾が、大学在学中にAI分野の探索アルゴリズムを研究した成果として、1997年に史上最長手数の詰将棋「ミクロコスモス」(1525手詰)をコンピュータソフトとして初めて解き、一世を風靡したあと、しばらく化石となってしまっていたあの「脊尾詰」が復活!
Windows版の将棋GUIソフトとして広く使われている「将棋所」に今回対応しました。
同じく、Windows版の将棋GUIソフトとして広く使われている「ShogiGUI」にも対応しています。(2017年5月30日追記)
詰め将棋の解答専用の思考エンジンとなります(指し将棋は非対応です)。

基本的なアルゴリズムは20年前とほとんど変わっていませんが、その間パソコンのハードウェアも進化しましたので、現在でも下記のような用途で十分に実用的に使えるのではと思います。

脊尾詰ダウンロード

下記リンクをクリックしてダウンロードし、圧縮ファイルを解凍してください。

SeoTsume1.2ダウンロード (2017.5.20)

■使用承諾条件 ■Old Version

脊尾詰の動作環境

将棋所が動作する環境であれば、動作するはずです。

使い方

  1. 将棋所またはShogiGUIをあらかじめパソコンにインストールしておきます。
  2. 脊尾詰のzipファイルを任意のフォルダに解凍します。
  3. 将棋所(またはShogiGUI)を起動します。
  4. 将棋所(またはShogiGUI)に脊尾詰の実行ファイル(SeoTsume.exe)を登録します。
  5. ハッシュメモリのサイズを指定します。1997年にミクロコスモスを解いたときのサイズは224MBです。大概の詰将棋はこれで十分ですが、もっと難解な問題を解きたい場合はパソコンの搭載メモリを確認したうえでさらに値を増やすと良いです。
  6. 余詰の確認を実行する場合は、脊尾詰のオプションを設定します。 詰将棋創作以外の用途では設定不要と思います。
     「Do_YoTsume_Search」: 本手順を検出した後、引き続き余詰の検索をするかどうか設定します。
     「YoTsume_Second」: 余詰検索の実行時間(1秒〜3600秒)を秒単位で設定します。
  7. 設定の方法など、詳しい使い方については、将棋所の使い方ページShogiGUIの使い方ページをご覧ください。
  8. 余詰検索をしない場合は、詰手順が1つ見つかるとただちにそれを解答して終了します。思考アルゴリズムの性質上、最短手数で詰めることが保証されないため、稀に変化別詰を解答してしまう場合がありますことをご了承ください(この場合は残念ながら余詰検索の効果はなくなります)。
  9. 余詰検索をする場合は、最初に見つけた詰手順をベースとして、この手順から分岐する別の詰手順を「YoTsume_Second」で設定した時間の間、最大20通りまで検出して表示します。
  10. 余詰検索の終了時には、最初に見つけた詰手順を本解答として出力しますが、途中で中断を押した場合は詰手順が出力されませんのでご注意ください。また迂回手順や非限定手順など、本来余詰ではなくキズとして扱われる手順を余詰として指摘する場合があることをご了承ください。

今週の詰み筋 (連載 Vol.10) 2017.7.17

今回は7月7日に行われた第76期A級順位戦2回戦佐藤康光九段vs.三浦弘行九段戦を紹介します。

日本将棋連盟会長になられた佐藤康光九段は、実は私と少しご縁がありまして、今年の4月に私の住んでいる大阪府枚方市のPR大使に就任されました。京都府八幡市出身の佐藤九段が幼少の頃に、枚方市の田中魁秀九段の教室に通って腕を磨かれたことがあり、枚方市で毎年夏休みに子供向けに開催される「ひらかた将棋イベント」に師匠の田中九段、同門の長沼洋七段、小林裕士七段とともにご参加いただき、小中学生を対象に熱心に指導いただいています。

我が家の子供達ももちろん、このイベントに毎回参加させていただいています。うちの長男が3年前にトーナメントで優勝して、「佐藤九段と夢の対局」で佐藤九段に四枚落ちでご指導いただく機会を得ました。写真はそのときの様子です。

 

長男はアマ3級程度の棋力で、四枚落ちとは言え佐藤九段にもし本気を出されれば、勝負どころもなく手も足も出ない状態で完封されるに違いありません。しかしそこは流石のプロで、下手が実力を発揮しやすい展開に上手く誘導していただき、序盤、中盤、終盤と見せ場を作ることが出来ました(最後は上手の勝ち)。
例えば私が将棋部内の対局で駒落ち上手で指すときは、やはり勝負ですので相手に力を発揮されないように、下手の大駒を抑え込んで完封勝ちを目指しますし、隙あれば先攻して攻め潰します。しかしそういう内容では席上対局として面白くないので、佐藤九段はまず下手に理想形を許して先に攻めさせて、下手がうまく指せば十分に勝機がある展開にしていただき、しかもそれを観衆に気付かれずにさりげなく出来るところが流石だと思います。



さて前置きが長くなりましたが、▲佐藤九段は3手目に▲8六歩と角頭の歩を突きました。角頭歩戦法は以前は奇襲戦法に分類されていましたが、最近は角交換振り飛車の手段として戦略的に突くことが増えてきました。プロの実戦でも後手番の角頭歩も含め、昨年あたりから急増しています。

角頭歩突きの実戦譜として昔から有名なのが、1975年に指された第24期王将戦第一局米長邦雄八段vs.中原誠王将戦です。その将棋では第1図の局面から△中原王将が△4四歩と角道を止めた手が角頭歩の挑発に乗らない冷静な手と評価され、相居飛車となったその将棋は92手で△中原王将が快勝しました。

しかし△4四歩という手は相手が居飛車で来ることを決め打ちした意味があり、現代風に▲6六角から▲8八飛で角道オープンの向かい飛車で来られると、△4四歩は不急の一手で緩手になりかねません。よって、△三浦九段が指した4手目△4二玉が現代では最善の対応と思われます。

第1図以下、実戦の進行は、
  △4二玉 ▲2二角成 △同銀 ▲8八銀 △3二金 ▲7七銀 △7二銀 ▲8八飛 (第2図)



佐藤九段は角交換後、得意のダイレクト向かい飛車に構えました。ダイレクト向かい飛車は2007年のNHK杯決勝で森内九段相手に指した将棋がダイレクト向かい飛車1号局と言われており、佐藤九段が創始者とされています。

第2図は、△4五角の筋違い角を決行するか、もしくはスルーして駒組みを目指すかの2択の局面です。

第2図以下、実戦の進行は、
  △4五角 ▲3六角 △同角 ▲同歩 △3五歩 (第3図)



△三浦九段は△4五角を決行。▲3六角と合わせた手に対し△6七角成も有力ですが、本局は再度の角交換後、△3五歩と突きました。

第3図以下、実戦の進行は、
  ▲同歩 △4五角 ▲4八銀 △2七角成 ▲3七銀 △4五馬 ▲4六銀 △4四馬 (第4図)

以前の角交換振り飛車の定跡書では、△3五歩に▲同歩は△4五角で馬作りが受からないため、第3図のような局面では▲3八飛 △3六歩 ▲7八金という手順が解説されていました。近年になり、平然と馬を作らせる▲同歩以下の指し方が有力とされるようになりました。



さて第4図の形勢判断ですが、駒損なくほぼ無条件で馬を作った後手が成功したように見えます。しかし技巧2の評価値は先手プラス100点台。第2図の局面が先手マイナス200点台でしたので、第2図から第4図に至る折衝で先手がかなり得をしたことになります。何故でしょうか?
その理由としては、後手が馬を作る過程で先手は3五歩、4六銀と前線に駒を進出させて手得になったのと、△4四馬の働きが今ひとつで、このあと馬を圧迫される展開になりそうなことが挙げられます。やはり最近のソフトは駒の損得より駒の働きを(人間よりも)重視するようです。

局面は20手ほど進んで第5図。右側の金銀桂を前線に進出させた後、玉の囲いを7九玉までの最小限で済ませた先手は、後手がまだ居玉の今がチャンスと見て、ここから仕掛けを敢行します。



第5図以下、実戦の進行は、
  ▲2四歩 △6一玉 ▲2八飛 △7二玉 ▲2三歩成 △同銀 ▲2四銀 △2六馬 ▲同飛 △3四銀 (第6図)



途中▲2四銀の強手を繰り出しながら果敢に仕掛けた佐藤九段でしたが、結果として第6図の局面になってみると、遊び駒であった2二銀を要所の3四まで手順に進出させてしまった上に、先手の2四銀と3六金が重い形で、仕掛けが成功したとは言えません。(技巧2の評価は後手優勢)

第5図では、どう指すのが良かったのでしょうか。▲2四歩に代わる指し方は非常に難しいところですが、一例としては、

  ▲5六歩 △6一玉 ▲5五歩 △7二玉 ▲5八飛 △5五歩 ▲5三歩 △5一金 ▲4六銀 (参考1図)



玉のコビンを開けて指しにくい手ですが▲5六歩と突いて、△2二銀や△3二金を相手にしないで中央から突破を図る指し方が有力だと思います。参考1図になれば先手が指せるようですが、▲5六歩のときに△3三歩と合わせる手もあり、そちらを気にされたのかもしれません。

第6図以下、△三浦九段が優勢に進めましたが、▲佐藤九段は様々な手筋を屈指しながら決め手を与えず粘り強く指しました。それが功を奏し、形勢の差は徐々に縮まり、迎えた第7図は優劣不明。ほぼ互角の形勢です。



第7図以下、実戦の進行は、
  ▲3一竜 △7一歩 ▲8三歩 △同玉 ▲8八香 △6六桂 (図面省略)

先手は遊んでいる3三の龍を使うべく▲3一龍と入りましたが、△7一に底歩を打った手が好手で、後手陣は逆に固くなってしまいました。

第7図では▲3一竜に代えて、単に▲8三歩と叩く手が有力で、
  ▲8三歩 △同玉 ▲8一飛 △8二銀 ▲3四龍 △4四香 ▲6一飛成 △6六桂 ▲4八玉 (参考2図)



手順中、銀を合駒に使わせた後▲6一飛成と出来るのが、△7一歩を打たせなかった効果です。また▲3四龍が細かい利かしで、香車を受けに使わせるのと同時に、△1五角の王手飛車を未然に防いでいます。
参考2図になれば、まだ優劣不明の激戦が続いていたことでしょう。先手にも十分勝機があったと思われます。

さて、問題図。先手は▲8三歩と詰めろをかけて下駄を預けた局面です。▲3一龍が受けに利いていて、簡単ではないように見えますが。



【問題図からの詰め手順】
 △1九飛 ▲2九銀打 △同飛成 ▲同銀 △4九角成 ▲2八玉 △2七金 ▲1九玉 △1八香 ▲同銀 △2八銀 まで11手詰
   (SeoTsume1.2 探索局面156730  思考時間0秒)

変化は多いですが、どう逃げても比較的容易に詰みます。実戦では△1九飛に▲4八玉と逃げて、△4九桂成までで終局となりました。微差の局面が長く続いた、二転三転の好局だったと思います。

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