脊尾詰ダウンロード 将棋所対応版

今週の詰み筋 (連載 Vol.3) 2017.4.21

floodgateと呼ばれる、コンピュータ将棋ソフト同士が自由に対戦出来る対局サーバーがあります。
最近ふとfloodgateを覗いてみると、「Gikou_SeoTsume_NB8_i5-3317U 」や「Ukamuse_SeoTsume_NB9_i5-3317U」といった、技巧や浮かむ瀬(=Apery)を脊尾詰と組み合わせたソフトがいつの間にか作成されて、対局を重ねていました 。
もともと、皆さんに自由に使っていただいて、少しでもお役に立てればという趣旨で公開していますので、大変ありがたいことであります。

図はそのfloodateでの「Gikou_SeoTsume_NB8_i5-3317U 」の最初の対局が行われた、4月10日の1局目の終盤です。
閑古鳥が鳴いていた脊尾詰ダウンロードサイトへのアクセス数が急増したのが4月8日で、その後にこのソフトを作成されたのでしょうから、対応の素早さには驚かされます。



ここでは既に先手必勝形で、▲4四歩と詰めろで攻めても勝ちですし、▲4七金と桂馬を取っておいても勝ち。何を指しても勝ちの形勢です。
この局面から後手玉を詰ませて(危険を冒して)勝とうとする人はまずいないと思われますが、実戦は即詰みに討ち取りました。

▲4三桂成(55) △同銀(34) ▲同角成(54) △同玉(42) ▲4四歩打 △同銀(33) ▲3四銀打 △4二玉(43)
▲4三歩打 △3一玉(42) ▲3二歩打 △同玉(31) ▲5二飛成(82) △同金(61) ▲4二金打 △同金(52)
▲同歩成(43) △同玉(32) ▲5四桂(66)△5二玉(42) ▲4三金打△5一玉(52) ▲4二金(43)△6一玉(51)
▲6二桂成(54) まで25手詰
   (SeoTsume1.1 探索局面数655305  思考時間3秒)



一般に、将棋ソフトどうしの対戦では、ひとたび優勢になった方がそのままリードを拡げて勝つケースがほとんどで、人間の将棋のように形勢が二転三転する将棋は少ないと言われています。
どのソフトも、終盤はそれなりに強く作られていますので、なかなか間違えないということです。
よって、脊尾詰を組み合わせたからといって、勝率がアップするほどの効果はないようです。
せいぜい、この例のように、従来じっくりと勝っていたところを即詰できれいに勝つことが出来ることがある、という程度の効果だろうと思います。

その昔、30年くらい前の話ですが、米長邦雄著「逆転のテクニック」という本を読んだのですが、その中の一節に、
  「一見詰まなさそうに見えて実は詰みという筋を探して、その局面に上手く誘導するのが、相手に頓死を食わせて逆転勝ちするコツであり、そうした技術を自由自在に操ることが出来たのは、全盛期の大山康晴十五世名人くらいだろう。」
というような内容が書かれていたことが大変強く印象に残っています。
そうした人間臭いテクニックをソフトが身につければ、コンピュータ将棋でも逆転が増えてくるのかもしれません。


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