脊尾詰ダウンロード 将棋所対応版

今週の詰み筋 (連載 Vol.4) 2017.5.1

第27回世界コンピュータ将棋選手権が近づいてきました。5月3日(水)から5日(金)まで開催で、4日(木)以降はニコ生での中継もあります。
注目ソフトは何と言っても「Ponanza Chainer」です。電王戦第1局で佐藤天彦名人に勝った従来版のPonanzaに、ディープラーニングと呼ばれるAI最先端技術を組み合わせて、「見たこともないほどの強さを実現する」予定とのことです。ハードウェアスペックも「CPU1000コア程度、GPU128基程度」とのことで、まさに化け物です。人間の名人を超えて、神の領域に近づこうということでしょうか。どんな将棋を指すのか、注目です。

今回取り上げるのは、こちらも大注目された「AbemaTV藤井聡太四段 炎の七番勝負第7局 VS羽生善治三冠戦」です。テレビニュースでも何度も取り上げられたので、背景の説明は割愛します。



藤井先手で、戦型は角換わり腰掛銀に。第1図の仕掛けは、最近プロアマ問わず大流行しています。
我々アマチュアは、後手を持って相手にこの仕掛けをされるのが非常に嫌なものです。持ち時間が短いこともありますので、私はこの攻めを正確に受ける自信は全くありません(逆に先手を持つと、勝率は高いです)。
したがって、私が後手を持ったときは、まずこの仕掛けを警戒することを考えるようにしています。例えば、



第2図のように、銀を4二でなく2二に上がり、4二玉の形にします。この場合は、玉が5三の地点を守っているため、本譜の▲2五歩から▲4五桂の仕掛けは無理筋となります。後手としては壁銀に形を決めて少し妥協した感もありますが、4五桂ポンで攻め潰されるよりはマシという考え方です。

さて、局面は進んで、藤井四段が快調に攻めを続けて迎えた第3図。



本譜は△同銀以下先手が順当に押し切りましたが、勝負手としては△同飛と取る手もありました。
△同飛に対しては、感想戦で検討されていたように▲同飛成、△同玉、▲2四歩と踏み込めば、やはり先手勝勢となります。
しかし、もし先手が「相手に飛車を渡すと自玉が危なくなる」と考えて、▲4三銀打、△同飛、▲同銀成、△同玉、▲2二飛成、という手順で詰めろをかけるのも、自然な攻め方に見えます。(問題図)



しかし、この順は罠で、以下の手順で先手玉は頓死してしまいます。

△5九銀打▲6九玉(68)△6八金打▲同金(78)△同銀成(59)▲同玉(69)△7八金打▲5九玉(68)△6八角打▲4九玉(59)△4八銀成(39)▲同玉(49)△5七角成(68)▲3八玉(48)△3七歩打▲2七玉(38)△3八銀打▲1七玉(27)△2七金打▲同龍(22)△同銀成(38)▲同玉(17)△2九飛打▲2八歩打△2六歩打▲同玉(27)△2八飛成(29)▲2七歩打△2五金打▲同玉(26)△2七龍(28)▲2六歩打△3三桂(21)▲1四玉(25)△2三銀(12)▲同玉(14)△2六龍(27) まで37手詰
   (SeoTsume1.1 探索局面数740260  思考時間3秒)



上記、収束部分が最短手順ではないですが、いずれにせよ、詰みます。

このように、先手が快調に攻めているようでも、一手間違えると逆転の可能性が生じるところに、将棋の怖さと面白さがあります。藤井四段がこうした変化も全て読み切った上で、終盤戦を乗り切っているとしたら、その読みの深さは流石と言えます。今期、藤井四段のタイトル戦登場はあるのか、注目です。


脊尾詰ダウンロードホームに戻る
パナソニック将棋部ホームに戻る
inserted by FC2 system