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今週の詰み筋 (連載 Vol.7) 2017.6.11

今回も、本日(2017年6月11日)放映された第67回NHK杯トーナメント1回戦第11局谷川浩司九段vs阿部健治郎七段戦を採り上げます。(最近あまり棋譜を並べていなくて、NHK杯くらいしか題材がないです。)

▲谷川九段が得意とする角換わり模様で始まりましたが、△阿部七段は飛車先を受けないで早めに右銀を進出させる趣向に出ます(第1図)。最近、将棋ソフトの影響により時折見られるようになった、非常に積極的な指し方です。



第1図以下、さらに攻勢に出たアベケン七段が次第にペースを握り、迎えた第2図。▲谷川九段は遊んでいた3七の角をぶつけ、角交換後の▲7四角を狙います。解説の屋敷九段は「角交換する一手」と解説されていましたが。。



第2図以下、実戦の進行は、
    △6六角 ▲同 歩 △2五歩 ▲3七角 △7五飛 (第3図)



遊んでいる▲2六角ではなく働いている▲6六銀の方と刺し違え、7五に飛車を捌いたのが好手順でした。先手の右辺の飛車角は完全に無力化してしまっているのに対し、後手の飛車は縦横無尽に働いています、
このように少し駒損しても、駒の働きを重視する指し方は、昨今の将棋ソフトの対局でも随所に現れている効果的な指し方と言えます。右辺の金銀が壁になっているのも、先手にとって痛手となっています。

優勢を築いたアベケン七段でしたが、この後の左辺からの攻めが思ったほどヒットせず、▲谷川九段は手順に玉をスルスルと右辺の安全地帯に逃げ出して、形勢は徐々に混戦模様となっていきました。

そして迎えた第4図。形勢はついに、猛烈な追い上げを見せた▲谷川九段に傾きました。



第4図以下、実戦の進行は、
    ▲7三歩 △6九飛 ▲5八銀 △6六飛成 (図面省略)

時間に追われた▲谷川九段は金取りに▲7三歩と打ちましたが、これは詰めろではなく、△6九飛が金の両取りの痛打となり、要の6六の金を取られてしまいました。

第4図では、▲7三歩に代えて、
    ▲6三歩成 △同 金 ▲同銀成 △同 玉 ▲4一馬 △5二銀打 ▲6四歩 △7三玉
    ▲6三金(好手) △8三玉 ▲8六香 △8四歩 ▲5二馬 (参考1図)

と進めれば、難しいながらも先手の勝ち筋であったようです。 (技巧2で検討)
途中、▲6三金と重たく打ってしまうのが気付きにくい一手であったようで、これにより後手玉は意外に狭いものとなります。



参考1図になれば、20手ほど前に打った▲6六金が、後手の上部を押さえる大事な駒として輝きを放つ展開になるはずでした。

形勢を再び手元に手繰り寄せたアベケン七段、ついに収束のときを迎えます。(問題図)



問題図以下、実戦の進行は、
    △3七と ▲同 桂 △3六銀 ▲同 玉 △2六金 ▲同 玉 △4六龍 まで (投了図)

△3六銀から△2六金の連続捨て駒で、見事に詰め上がました。
アベケン七段の華麗な詰め手順に敬意を表し、今回は脊尾詰の詰手順は割愛します。

   (SeoTsume1.2 探索局面数101867  思考時間0秒)



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