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今週の詰み筋 (連載 Vol.21) 2018.3.31

3月25日に行われた詰将棋解答選手権チャンピオン戦に参加してきました。今回から2回に分けて、その自戦記を掲載します。まず今回は、午前中に行われた第1ラウンドを紹介します。

詰将棋解答選手権は、一般戦や初級戦を含めても、初めての参加になります。脊尾詰はもちろん使えず、当然ながら自分の頭で考えます。作戦としては、各ラウンドの最終問題は難しすぎるので最初から捨てて、残りの4問、特に1問目、2問目あたりを確実に解く方針で臨みました。以下、一題ずつ、解いた(解けなかった)過程を振り返りながら、後日確認した脊尾詰での解答時間も掲載します。

なお、正解手順については、このページには掲載しませんので、詰将棋解答選手権速報ブログ、あるいは詰将棋解答選手権の過去問のサイトにて、ご確認ください。



第1問、例年は易しい問題が多いが、いきなりの双玉問題で少し動揺した。なかなか作意に辿り着けなかったが、△4九角の7六玉への利きを生かして5八香の動きを牽制しようとする玉方と、それを打開する攻め方の攻防が、双玉の意図だと分かった。その後、7手目の▲3五角(4四の香を取る狙い)を発見して解決。消費時間約20分。結果は正解だった(10点)。
 (SeoTsume1.2 探索局面6937  思考時間0秒)




第2問、初手▲5四馬はこの一手で、対する合駒が問題かと思ったが、何を合駒しても簡単に詰んでしまう。おかしいなあと、しばらく考えていると、2手目から△2三玉、▲2二桂成、△1四玉の変化が、簡単には詰まないと判明。この変化は1八の龍が存分に働きそうなので、これが作意だ。5手目は、1八の龍を取られないように▲3八角と引いて、以下、収束形に。収束でやや時間がかかってしまったものの、きれいな詰め上がりに一安心。ここまでの消費時間約45分。結果は正解だった(20点)。
 (SeoTsume1.2 探索局面99918  思考時間0秒)



 

第3問、初手から、▲1六銀、△同と、▲2四銀、△同玉、▲2五銀、△同玉(途中1図)までは一本道で、他に紛れの余地はほとんどないところ。途中1図が問題の局面である。第1感は▲3七桂であるが、△2六玉と逃げられてみると、▲2五飛以下、手が続くものの、妙に詰まない。しばらく考えたあと、▲3七桂に代えて▲1七桂と打つ手を発見。▲1七桂に対して、△同とと取ると、▲1五飛以下、早く詰む。▲1七桂の発見が最大のポイントだった。以下、作意手順の11手目▲2四銀(途中2図)に対して、△同玉(正解)ならば、以下の龍と飛車を捨てて、馬による詰み形が見えてくる。しかし、途中2図での△1四玉の変化が、私はなかなか詰めることが出来ず、時間を浪費してしまった。どうせ変化なので読みを省略しようかと思ったが、根が真面目なので正直に時間をかけて、ようやく▲1三銀成、△2四玉に▲2三成銀と捨てる手を発見。ここまでの消費時間約85分。結果は正解だった(30点)。
 (SeoTsume1.2 探索局面259346  思考時間0秒)


以上、第3問まで解いたところで、制限時間(90分)まで残り5分となってしまった。ここから第4問に進んでも解ける見込みはないため、最後の5分間は、これまでの解答手順の見直しに充てた。手を全く付けることが出来なかった第4問と第5問とは、以下で簡単にレビューします。



第4問、中段玉の双玉問題で、打ち歩詰めも絡んで、少し読みにくい問題。4二にいる角がどういう意味を持つのか、気になるところ。どこかで、▲2三香成、△4二銀の手順が入ることになるのだが、その意味付けがパッと見で難しい。また、そのタイミングが非常に重要で、初手から、▲2三香成、△4二銀、▲1八香としてしまうと、△1六角と中合いをされて、詰まない。△1六角に気が付かないで、正解手順と同様に詰めて、誤答になってしまった解答者が、かなりいたらしい。5手目に▲2三香成とするのが正解。以下、13手目に▲2四成香、△同ととした後、香車の空き王手で2四のと金を払い、入手した歩が最後に一歩千金となって詰み上がる。難問である。
 (SeoTsume1.2 探索局面152521  思考時間0秒)




第5問、見た目からして、不成や中合が出てきそうな形をしていて、難問に見える。作意手順は、3手目から飛車の連続不成で追いかけることになるのだが、飛車を不成としなければならない意味が最後の収束になるまで分からない、というところが第一のハードルである。飛車を成ってしまうと、32手目に△5一歩と中合をされて、打ち歩詰めの形に誘導されてしまって、詰まない。また、4手目に△6二歩と中合する手も見えにくい手である。変化と紛れを全て見切るには相当の読みを必要とする難問だと思う。
 (SeoTsume1.2 探索局面5284114  思考時間12秒)


以上、第1ラウンドは3問正解しての30点。参加者105人中で36位でした。プロ棋士の斎藤慎太郎七段や船江恒平六段と同点ということで、私の実力からすれば望外の結果で、気分を良くしていました。ところが、午後の第2ラウンドで悪夢に見舞われることになります。(続く)

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