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今週の詰み筋 (連載 Vol.22) 2018.4.16

3月25日に行われた詰将棋解答選手権チャンピオン戦に参加してきました。前回の第1ラウンドに引き続き、今回は、午後に行われた第2ラウンドを紹介します。

第1ラウンドは、3問解くことが出来たので、より難しくなるであろう第2ラウンドは、最初の2問を確実に解く方針にしていました。今にして思えば、その方針にこだわり過ぎたのが問題だったのかもしれません。以下、一題ずつ、解いた(解けなかった)過程を振り返りながら、後日確認した脊尾詰での解答時間も掲載します。

なお、正解手順については、このページには掲載しませんので、詰将棋解答選手権速報ブログ、あるいは詰将棋解答選手権の過去問のサイトにて、ご確認ください。



第6問、△2四角の4ニへの効きを消してから▲4一馬とする筋が見える。ただし、初手からいきなり▲3三金、△同角、▲4四桂としてしまうと、△同角と取ってくれずに、△2三玉と上部へ逃げられてしまい、以下3五への遁走路が開いているので詰まない。よって、初手は退治封鎖の手筋で▲3五香と打つことになる。以下、変化がやや多いが丹念に読んでいき、作意手順は捨て駒の手筋連発で、順当に詰め上がる。消費時間約15分。結果は正解だった(10点)。
 (SeoTsume1.2 探索局面73526  思考時間0秒)




第7問、中段玉で変化紛れが多く、やや読みずらい問題。初手4ニと6ニと、どちらに桂馬を成るか迷うが、仮に▲4ニ桂成としたとき、単に△5六玉や△4六玉と逃げると、▲6三歩成の筋があって簡単に詰む。おかしいなあと悩むこと約10分、ようやく2手目に6三へ捨て合いする応手を発見。6三へ何を合駒するか悩むが、とりあえず歩を合駒したとして、以下、手順は省略するが、変化図の局面になる。この局面で▲7三馬と寄る簡単な手が何故か見えず、▲5六歩、△5四玉、▲6五馬となったときに、初手の桂馬を6ニへ成っていれば詰むと考えてしまった。そこで、初手▲6ニ桂成を読み、2手目△6三歩なら変化図の筋で詰むので、2手目△6三桂合の変化を読むが、詰めることが出来なかった。初手▲4ニ桂成と▲6ニ桂成、そして2手目の歩合と桂合の間で思考が交錯し、正解の2手目△6三銀合に辿り着くことなく、諦めて第8問に行くことにした。ここまでの消費時間約50分。
 (SeoTsume1.2 探索局面40307  思考時間0秒)




第8問、初手から、▲2四銀、△3四玉、▲3五歩、△同角まではスラスラと進むが、そこで▲5四龍としてしまうと、△4四角と引かれた局面が打ち歩詰めになってしまって、詰まない。正解は▲4六桂と打つ手で、もし△同飛ならば▲3五銀と角を取って、△同玉に▲1三角と打ち、4六に呼び込んだ飛車を入手する筋で詰む。そこで、▲4六桂には△同角と取るのが正解で、そのタイミングで▲5四龍とすれば、打ち歩詰めを回避することが出来て、以下、手筋の連発で簡単に詰む。私は、▲4六桂から▲3五銀の筋が見えず、4六に飛車を呼ぶと飛車の守備力で詰みにくくなると考えてしまった。
 (SeoTsume1.2 探索局面148945  思考時間0秒)


第7問と第8問は、結局、解くことが出来なかった。第8問は今にして思えば考えやすい問題であり、第7問に早く見切りを付けて、疲労がなく頭がクリアな状態で先に第8問に取り組めば良かったと思う。

手を全く付けることが出来なかった第9問と第10問とは、以下で簡単にレビューします。



第9問、入玉形で持ち駒が多いので、一見すると難しそうに見えるが、いわゆる手筋ものであり、大量の持ち駒を気前よく捨てていけば自然に詰む。特に難しいところはない。ただし、それは後になって言えることであり、初見で、限られた時間内で、全ての変化を丹念に読み切って正解手順に至るのは、必ずしも簡単なことではない。
 (SeoTsume1.2 探索局面138214  思考時間0秒)




第10問、詰め上がりの局面まで読まないと初手が決まらないという、難問である。作意手順の33手目で、▲6二龍と▲6二金の2通りの攻め方があるが、このときに△同角成と△同角不成という2通りの受け方を使い分ける選択権が玉方に存在した場合は、詰まない。そこで、11手目に▲3七飛と捨てて、角の位置を変えることにより、19手目に角の利きをそらすべく▲2六馬と捨てたときに、角を成るか成らないかを決めさせるわけである。11手目の▲3七飛を実現するためには、初手▲5六銀ではなく▲5六金として、5手目の▲5五銀のために銀を温存しておかないといけない。5手目を▲4七金(▲4七銀)としてしまうと、△5五玉と逃げられて、4七に打った駒が邪魔して▲3七飛捨てが実現出来ない。ここまで読んで初めて、初手が▲5六金だと分かる(第一感は金を残して▲5六銀のはず)。とても奥が深い、難問である。
 (SeoTsume1.2 探索局面43908124  思考時間1分51秒)


以上、第2ラウンドは1問しか正解することが出来ず、第1ラウンドと合計で40点。参加者105人中で67位でした。第一ラウンドの36位から大きく順位を下げてしまいました。私の場合は、解くスピードが致命的に遅いと思いますので、この一年間、スピードを鍛えて、またリベンジしたいと思います。

余談ですが、4月8日に東京武道館で行われた第113回職域団体対抗将棋大会に参加し、Aクラスで準優勝しまして、パナソニック史上初となる、Sクラス昇格を手にすることが出来ました(詳細レポートはこちら)。詰む詰まないに関係なく大差で決着する将棋も多いので、詰将棋がどのくらい役に立っているか分かりませんが、中終盤で先を読む力に良い影響が出ているように思いました。また、どんなに困難に思えることでも、あきらめずにチャレンジすることが大切だと感じました。

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