脊尾詰ダウンロード 将棋所対応版

今週の詰み筋 (連載 Vol.30) 2018.12.8

今回は、今週に行われたプロ棋戦の中から、3局をご紹介します。

第1図は、12月3日の第12回朝日杯将棋オープン戦二次予選 谷川浩司九段 vs 稲葉陽八段戦 の終盤です。角換わり腰掛銀の流行形で、終盤まで難しい形勢が続き、いま▲2五桂と金取りに打った局面です。

 

第1図以下、実戦の進行は、
△7五飛 ▲7六歩 △6六桂 ▲6七玉 △7八銀 ▲7七玉 △5八桂成 (第2図) ▲5五桂 △同 飛 ▲同 銀 (問題図1)

後手の稲葉八段が、最終盤での貴重な手番を生かして、王手の連続で谷川玉を追い詰めていきます。空き王手された第2図の局面では、▲6六桂と打てばまだ頑張れそうに思えますが、それに対しては、△2五飛と桂馬を取る手が好手で、以下、▲同飛に△7四桂と詰めろをかけられて、受けが難しいようです。



問題図1の局面。初手は角で王手するしかありません。8筋から9筋に逃げ道があり、詰ますのはまだ大変そうに見えます。


【問題図1からの詰め手順】
△5五同角 ▲8六玉 △7四桂 ▲8五玉 △8四銀 ▲同玉 △7三金打 ▲7五玉 △6六角 ▲8五玉 △8四金  まで11手詰
  (SeoTsume1.2 探索局面21989  思考時間0秒)



△5五同角と王手されたとき、6六への合駒(飛車と角しかない)に対しては、△同角、▲同玉、△7四桂で詰みます。また、詰め手順中の4手目で▲9七玉と端に逃げた場合は、△8六銀の捨て駒が好手で、以下、▲同歩、△8八角成以下、詰みです。


続いて第3図は、12月6日の棋聖戦一次予選 門倉啓太五段 vs 佐々木勇気七段戦 です。先手だけ▲1六歩の端歩が突いてあり、端歩なしで先手後手を逆にすると、ゴキゲン中飛車vs超速3七銀の流行形になります。

第3図以下、実戦の進行は、
▲7八金 △7六銀 ▲6六角 △8六歩 ▲同 歩 △同 飛 ▲8八歩 △8二飛 ▲7九銀 △6五銀 (第4図)

 

先後を逆にしたゴキゲン中飛車vs超速3七銀の定跡どおりの進行です。▲6六角のところでは、以前は▲8八角がよく指されていて、以下、△8六歩、▲同歩、△同飛に、▲5六飛と浮いて、飛車交換する将棋になります。▲6六角は最近になって出た手で、角が使いやすい利点があります。

▲8八歩と受けるのでは先手が苦しそうに見えますが、次に▲7七銀とぶつける手が実現すると振り飛車が指しやすくなるので、△8二飛と引くのはこの一手です。▲7九銀は手損のようですが、7八の金に紐を付けて、次に▲5四歩を狙っています。

第4図の△6五銀では、△8七歩と合わせる手も有力で、△8七歩の方が実戦例が多くあります(先後逆の局面で)。


さて、局面は進んで、問題図2の局面。後手の佐々木七段が、豊富な持ち駒を生かして、豪快に決めました。



【問題図2からの詰め手順】
△2七飛成 ▲同玉 △3五桂 ▲3六玉 △2七角 ▲2六玉 △2五銀 ▲同玉 △3三桂 ▲2六玉 △2五金 ▲1七玉 △1六角成 ▲2八玉 △2七桂成 ▲3九玉 △3八成桂   まで17手詰
  (SeoTsume1.2 探索局面29777  思考時間0秒)



初手△2七飛成と豪快に飛車を捨てて、▲同玉に、△3五桂と打てば、先手玉は意外に狭く、以下は容易に詰みます。


最後は、12月3日に行われた棋聖戦一次予選 瀬川晶司六段 vs 青嶋未来五段戦 です。角換わり腰掛銀の流行形から、後手の青嶋五段が△6三玉型の右玉に構えた将棋で、▲4二銀成と詰めろをかけた局面です。先手玉は広くて詰みにくそうですが、初手に好手があります。



【問題図3からの詰め手順】
△3五角 ▲同歩 △2五桂打 ▲同飛 △同桂 ▲2六玉 △2七飛  まで7手詰
  (SeoTsume1.2 探索局面42574  思考時間0秒)



初手△3五角の捨て駒が、3五への逃げ道を封鎖する決め手でした。


以上、今回は少し趣向を変えて、3局分の比較的やさしい詰み筋を紹介させていただきました。

脊尾詰ダウンロードホームに戻る
パナソニック将棋部ホームに戻る
inserted by FC2 system