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今週の詰み筋 (連載 Vol.33) 2018.12.29

問題図1は、12月24日の第4期叡王戦本戦 渡辺大夢五段 vs 佐藤天彦名人戦 です。横歩取りで後手が△6二玉と反対側に囲った将棋の終盤戦で、後手が△7四桂と詰めろをかけた局面です。



第1図以下、実戦の進行は、
▲5二金 △7一玉 ▲6二金打 △8二玉 ▲7二金 △9二玉 ▲8六歩 △8九歩成 (問題図1)

王手の連続で後手玉に迫りますが詰まず、▲8六歩と玉の逃げ道(8七の地点)を空けて詰めろを受けた手に対して、△8七歩成と再度、詰めろをかけた局面が問題図1です。▲8六歩は単に詰めろを受けただけでなく、後手玉への詰めろにもなっていて、「詰めろ逃れの詰めろ」だったのです。



【問題図1からの詰め手順】
▲8三角打△同玉(92)▲7五桂打△9四玉(83)▲8五銀打 (途中図1)
△9五玉(94)▲9六歩(97)△同龍(99)▲同銀(85)△同玉(95)▲8七金(78)△9五玉(96)▲8五飛打△9四玉(95)▲8三飛成(85)△9五玉(94)▲8五龍(83) (詰め上がり図1)
まで17手詰
  (SeoTsume1.2 探索局面5677  思考時間0秒)

 

初手▲8三角と捨てて△同玉に▲7五桂と打ち、4手目△7二玉は▲8三銀、△7一玉、▲6三桂不成でぴったり詰みます。途中図1の▲8五銀が打てるのが、▲8六歩と突いた効果でした。以下、飛車を奪って詰み上がりとなります。

問題図1の1手前の△8九歩成(102手目)では、先に△7八銀成と金を取ってから、▲同玉に△8九歩成としておけば、後手玉は詰まず、後手勝勢でした。相手に駒を渡して詰めろをかけた方が、自玉が安全になるという、例外的なケースでした。


問題図2は、12月27日の第67期王座戦二次予選 佐々木慎六段 vs 郷田真隆九段戦 です。先手番の佐々木六段が初手▲7八飛と振り、角交換振り飛車からお互いに銀冠に囲い合う持久戦になりました。郷田九段がうまく手を作ってリードを奪い、迎えた最終盤です。



【問題図2からの詰め手順】
△3六歩打▲同銀(27)△4八銀打▲同金(38)△3六角成(69)▲同玉(37)△3九龍(99)▲3八金打 (途中図2)
△1八角打▲2七銀打△同角成(18)▲同玉(36)△2八飛打▲同金(38)△3六銀打▲1七玉(27)△1六香(15)▲同玉(17)△2五銀打▲同歩(26)△同銀(36)▲1七玉(16)△1六香打▲2七玉(17)△3六龍(39) まで25手詰 (詰め上がり図2)
  (SeoTsume1.2 探索局面1394665  思考時間4秒)



変化がやや複雑で、詳細は割愛しますが、3手目の△4八銀が決め手です。△4八銀に対して、▲同玉は△5九角で、▲2七玉は△3六角成で、▲2八玉は△3七角で、いずれも手順はやや長いですが、詰みとなります。

実戦では、問題図2の局面から、△2五桂以下の別の詰み手順で見事に詰まして、郷田九段が勝利しました。

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