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今週の詰み筋 (連載 Vol.31) 2018.12.16

問題図1は、12月10日の第90期棋聖戦二次予選 山崎隆之八段 vs 谷川浩司九段戦 です。戦型は山崎八段得意の相掛かりで、谷川九段が僅かなリードを保って終盤を迎えました。後手玉は受けなしで、先手玉が詰むかどうかの局面です。

 

【問題図1からの詰め手順】
△8五桂打▲8六玉(77)△9四桂打▲8五玉(86)△8四歩打▲同玉(85) (途中図1)
△6四飛打▲同馬(65)△8三歩打▲7五玉(84)△6五金打 (投了図1)
▲同馬(64)△7四銀打▲6六玉(75)△6五銀(74)▲7七玉(66)△5五角打▲6六飛打△同角(55)▲同歩(67)△同銀(65)▲同玉(77)△6五飛打▲同玉(66)△1五龍(18)▲6六玉(65)△5五龍(15)▲7七玉(66)△6六金打 (詰め上がり図1)
まで29手詰
  (SeoTsume1.2 探索局面179213  思考時間0秒)

  

初手は桂馬で王手するしかなく、以下、玉を上部に追い出して、途中図1がポイントの局面です。8三に駒を打つと▲同馬が逆王手になってしまうため、詰まないように見えますが、△6四飛の捨て駒が妙手です。▲同馬と取らせることで、馬の利きがそれて、△8三歩が可能になりました。

続いて、数手進んだ投了図1の局面で、△6五金の捨て駒が、また妙手です。さきほど6四に呼び込んだ馬を、また6五に戻そうという手です。馬を6五に戻すことで、△7四銀、▲6六玉、△6五銀で、強力な馬を消去出来ました。

投了図以下も、少し難しい手順が続きます。△5五角の王手に対し、合駒は飛車が最善で、他の合駒は早く詰みます。以下、清算して、最後、△6五飛の捨て駒で収束となります。



以上、詰将棋のような華麗な手順で、谷川九段が勝利しました。


続いて問題2は、12月13日の第77期順位戦B級1組10回戦 渡辺明棋王 vs 橋本崇載八段戦 です。角換わり腰掛銀の定跡形で始まった本局は、先手の渡辺棋王が、今期順位戦全勝の勢いを感じさせる指し回しで、中盤でリードを奪いました。



問題図2は、後手の橋本八段が8五の金を飛車で取った局面です。▲8五同桂で飛車を取ると、△7七金以下、簡単に詰まされてしまいます。かと言って、先手玉は△6八金の詰めろになっていますので、後手玉を詰ますしかなさそうです。

【問題図2からの詰め手順】
▲6二金打△同金(63)▲同桂成(74)△同玉(51)▲7三銀打 (投了図2)
△同玉(62)▲8五桂(77)△7二玉(73)▲8三角打△同玉(72)▲7三金打△8四玉(83)▲7四金(73)△8五玉(84)▲8四飛打  まで15手詰
  (SeoTsume1.2 探索局面108083  思考時間0秒)

 

6二でバラした後、7三銀の捨て駒で、ぴったりと詰んでいます。投了図2以下は、△7三同玉に▲8五桂と飛車を取れるのが大きく、以下、△7二玉に▲8三角の捨て駒で詰みます。▲8三角のところは、▲5二飛でも詰んでいます。


続いて問題3は、12月13日の第77期順位戦B級1組10回戦 行方尚史八段 vs 畠山鎮七段戦 です。矢倉模様の出だしから、力戦調の急戦となり、激しい攻め合いに突入しました。



【問題図3からの詰め手順】
▲6五桂打△6四玉(53)▲7五金打△同歩(74)▲同銀(66)△6三玉(64)▲7三桂成(65)△同玉(63)▲8五桂打△6二玉(73)▲6五飛(25)△6三歩打▲3二龍(22)△同銀(43)▲7三桂成(85)△5一玉(62) (途中図3)
▲5二銀打△4二玉(51)▲5一角打△3一玉(42)▲3二歩成(33)△同玉(31)▲4三銀成(52)△2一玉(32)▲3二銀打△1二玉(21)▲2三銀成(32)△同玉(12)▲3三成銀(43)△1三玉(23)▲2三成銀(33)△同玉(13)▲6三飛成(65)△2二玉(23)▲3三龍(63)△2一玉(22)▲2二歩打△1二玉(21)▲2四桂(36)   まで39手詰
  (SeoTsume1.2 探索局面2126467  思考時間7秒)

 

最終的に39手で詰むわけですが、逃げ方の変化が多くて、難解な詰手順が続きます。

実戦も、途中図3までは上記の手順どおりに進んだのですが、途中図3から先手の行方八段は▲6二角と打ち(正解は▲5二銀)、以下、後手玉は詰まず、後手の畠山鎮七段の逆転勝ちとなりました。

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