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今週の詰み筋 (連載 Vol.2) 2017.4.12

「今週の〜」と題しながら訪問者が少なかったのを良いことにVol.1のまま更新をサボっていましたが、先週末からアクセス数が激増したため、ようやくVol.2に更新することにしました。
今回は、先頃4月9日に東京で行われた職域団体戦での私の将棋を題材に取り上げます。A級の本戦トーナメント2回戦でのFUYOU(1)との五将戦です。



後手の私が先攻してペースを掴みかけていますが、飛角桂だけの細い攻めなので押さえ込まれないように注意する必要があります。第1図で普通は△6四歩と桂取りを受ける手が考えられますが、飛車先が重くなってしまいます。
そこで本譜は△7六歩と突き出して角筋を通し、▲6五銀直(第2図)と進みました。



第2図で第一感は△3九角成と飛車取りに角を成り込む手なのですが、飛車を逃げられた後に▲7三歩成が先手で残り、忙しい局面になってしまいます。
そこで本譜は、角を成らないで△5五歩と取り込んで力をためて、▲同角に△5四銀(第3図)と出た手が、守備駒を使って攻めに厚みを加える渾身の一手でした。



第3図からは、▲6四角△同飛▲同銀△3九角成と進行し、やや駒損ながらも大駒を捌き、△5七歩の叩きも厳しく残って、有利に進めることが出来ました。(技巧の評価値 -200点前後で、後手やや有利)

さて、前置きが長くなってしまいましたが、第4図が問題の局面です。第4図における対局中の私の考えは、
   「普通に王手していけば先手玉は簡単に詰みそうだが、仮に詰まなくても必死をかけておけば、
    後手玉はまだ詰まないので、簡単に勝てそうだ。」
というものでしたが、これがとんでもない誤りでした。



まずは後手玉について。一見詰まなさそうに見えるのですが、実は簡単な詰めろになっていたのでした。
   ▲3三金打△同桂(21)▲2一角打△4二玉(32)▲3三歩成(34)△同玉(42)▲3一飛成(61) まで7手詰
対局中、私は▲4一角打を中心に読んでいて、まだ詰めろではないと思っていましたが、▲3三金打と捨ててから、▲2一角打と反対側から角を打つ筋が完全に盲点になっていました。

次に先手玉について。6六の金が手順に取れる形なので、簡単に詰みそうに見えますが、後日脊尾詰で解いてみると、意外に時間がかかりました。
   △5七馬(47)▲8八玉(79)△6六馬(57)▲7七桂(89)△7六桂打▲9八玉(88)△8九銀打▲9七玉(98)
   △8五桂打▲8六玉(97)△7五銀打▲同銀(64)△同馬(66)▲同玉(86)△8四銀打▲6六玉(75)
   △5五銀(54)▲同玉(66)△4五飛打▲5六玉(55)△5七金打▲6六玉(56)△7五銀(84) まで23手詰
   (SeoTsume1.1 探索局面数1809119 思考時間7秒)



実戦では無事に先手玉を詰ませることが出来ました(上記とは少し異なる手順で)が、自玉の詰めろが分かっていなかったので、
    先手玉に詰めろをかけた末に、頓死を食ってしまう
という悪夢に危うく陥りかねないところでした。ぎりぎりの際どい局面だったのですね。
ちなみに、私は離席はしていませんので。念のため。
パナソニックチームは残念ながら2-3負けで2回戦で敗退。パナソニック全体の結果はこちらをご覧ください。

「今週の〜」は「今月の〜」と読み替えていただきたく、よろしくお願い致します。
「脊尾詰」将棋所対応版の方は、改善が出来たら次の版を公開します。


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